循環器や発達の問題にも強い 小児科の名医 
 【保田 典子先生/高円寺こどもクリニック】
					 
						杉並区高円寺にある「高円寺こどもクリニック」。その院長を務めるのが、小児科専門医の保田典子(やすだ のりこ)先生です。先生は新生児や、不整脈・心疾患を抱える子どもの治療を数多く経験されてきました。神経発達症(発達障害)や起立性障害の診察にも多くの実績と定評があり、地域の子育て世帯にとって心強い存在となっています。今回は保田先生に、医師を志したきっかけからクリニックでの治療に込める思いまで、幅広く伺いました。
友人の病気がきっかけで医師の道へ
 
____先生が医師を目指されたきっかけについて教えてください。
友人が大きな病気を患ったことがきっかけでした。それまで私は健康そのもので病院にかかることもほとんどなく、身内にも医療関係者がいなかったため、医師という進路を考えたことはありませんでした。 しかし、仲の良い友人の病気を治したいという思いから、高校時代に医学部を志すことを決めました。
____数ある診療科のなかで、小児科を選ばれたのはどのような経緯があったのでしょうか。
医学部5年生のとき、臨床実習で小児科も担当しました。実は当初は小児科を専門にするつもりはなく、子どもに対して少しだけ苦手意識もありました。しかし実習が進むにつれて、前日までぐったりしていた子たちが治療の効果でぐんと回復し、翌日には笑顔を見せる様子に強いやりがいを感じるようになりました。
小児科は子どもの病状が急に悪化するリスクがある一方で、治療に反応して回復していく過程がとても分かりやすいのが特徴です。前日にはつらそうにしていた子が翌日には笑顔を見せてくれる——そんな変化を目の当たりにする中で、子どもやご家族の笑顔につながる医療の魅力を実感しました。
小児循環器内科や新生児科で、緊急性の高い医療を経験

____勤務医になられてからは、心臓に病気を抱える子どもや、新生児も多く診てこられたと伺いました。
勤務医として働き始めてからは、小児循環器内科や新生児科に在籍し、それぞれ専門的な診療に携わってきました。 新生児科では、生まれた瞬間から手厚い対応を必要とする赤ちゃんの出産に立ち会い、蘇生など瞬時の判断を求められるケースに日常的に対応していました。
不整脈や心臓の病気を抱える子どもの診療も担当し、治療によって不調が落ち着き、笑顔や元気を取り戻す瞬間に達成感を感じていました。元気になって退院していく子どもたちの姿を見るたび、心から「医師になってよかった」と思う瞬間が何度もありました。
____開業後の現在は発達に心配のあるお子さんの診療も多くされていますが、勤務医時代から診察を続けてこられたのでしょうか。
はい。勤務医としてのキャリアの最後は、杉並区の病院に勤務していました。 その中で、発達に心配のあるお子さんの診察を多く経験しました。
こうした経緯を通して、大きな病院ではとくに診察時間に制限がある中、子どもたちの生活全体やご家族の状況にも目を向けた支援ができればと思うようになったのが、クリニックを開業するきっかけの一つです。
また、ご家族の不安や負担を少しでも軽くするお手伝いができればと考えていました。
____クリニックを開業する先として、杉並区の高円寺を選ばれた理由はありますか。
勤務医として杉並区に通っていた際、住民の方々との距離感が程よく、患者さんも温かく親しみやすい方ばかりだと感じていました。そのため、開業を検討する際には、この街のちょうどよい気さくさと親しみやすさに惹かれて、高円寺で開院することを決めました。
夜泣きの赤ちゃんから起立性障害、発達に心配のあるお子さんまで。保護者とともに成長を支える存在に
____「高円寺こどもクリニック」のホームページには、夜泣きや朝が弱い子、発達に心配のあるお子さんに関しても、専門外来として案内が掲載されています。
勤務医時代も、発達に心配のある子や起立性調節障害の子、ひんぱんに発熱してしまう子どもたちに多く接してきました。 たとえ大きな病院では治療対象と判断されない場合でも、ご家族が不安を抱えていることは少なくありません。
発達に関する相談やカウンセリングは、定期検診以外の時間でも受けられる環境を整えています。また、デイケアの希望や詳細な検査が必要な場合には、専門機関への紹介も可能です。
ご家族が安心して子育てに向き合えるよう、身近で相談できる場を設けることも当クリニックの役割です。お子さんやご家族の、不安や負担を少しでも和らげられるよう環境を整えています。
かかりつけ医として隠れた病気も見逃さない、独自のWEB問診システムも導入


____診察の際に特に意識されていることは何でしょうか。
街の小児科かかりつけ医として、隠れた病気や病気の兆しを見逃さないよう心がけています。たとえばいわゆる風邪、感冒は症状が軽ければ安静にしていれば自然に治ることがほとんどです。しかし、風邪に似た症状でも大きな病気が潜んでいることもありますし、ご家族が「何かがおかしい」と感じる状態が病気の初期症状であることも少なくありません。
通院されているご家族やお子さんは、何かしらの心配を抱えて来院されています。そのため、言葉にしきれない思いや小さな変化も含めて汲み取れるよう努めています。
____クリニックのHPにWEB問診が用意されているのも拝見しました。
診察やカウンセリングの時間にはどうしても限りがありますので、あらかじめ詳細な問診ができるWEBシステムを導入しています。お手元で問診に答えることで、お子さんの症状や状態を振り返りながらより詳しく情報を入力できるようになっています。
事前に情報を共有いただくことで、診察では本質的な相談に時間を割けるようになり、小さな異変も拾いやすくなります。ご家族にとっても、気になる点を整理することで解決につながりやすい仕組みづくりを心がけました。
____最後に、この記事をお読みの患者さまへメッセージをお願いします。<
クリニックに通ってくださっているお子さんの中には、発達の面でサポートを必要としているお子さんや、不登校のことで悩んでいるお子さんもいます。
小児科ですので、風邪など一般的な疾患で受診されるお子さんも多くいらっしゃいますが、私たちは病気の治療だけで終わるのではなく、ご家族が抱えるさまざまなお悩みにも寄り添いながら、一緒にお子さんを支えていける存在でありたいと考えています。これからも、患者さまであるお子さんたちが元気に小児科を卒業していけるよう努めてまいります。
 
							筑波大学医学専門学群を卒業後、国立国際医療センターや大阪市立総合医療センターにて小児内科、小児循環器内科、新生児科の経験を積む。蘇生や高度な治療を必要とする小児科領域での勤務を経て、自身の出産を機に、発達に心配のある子どもたちやご家族へのサポートにもより一層力を注ぐようになる。 その後、高円寺こどもクリニックを開院し、ご家族と一緒に子どもたちの成長を見守りながら診療を続けている。
小児科 小児循環器内科 新生児科
日本小児科学会・日本専門医機構認定小児科専門医 医学博士 日本小児科医会認定こどもの心相談医
日本小児科学会 日本小児科医会 日本小児循環器学会 日本小児心身医学会
							問い合わせ
003-6265-5957
高円寺こどもクリニック
公式ホームページ:https://koenji-kodomo-clinic.jp/
取材日: 2025年9月4日						

