メンタルクリニックの名医
【紫藤佑介先生/ メンタルドクタークリニック】
東京でも有数のビジネス街として知られる街、新橋。JR新橋駅から徒歩1分の場所にある「メンタルドクタークリニック」は、ビジネスパーソンが日常のなかで気軽にメンタルケアを受けられる場です。院長の紫藤佑介先生は、YouTubeなどオンライン発信にも力を入れ、「精神科は特別な場所ではない」と広く伝えてきました。こうした活動が、患者さんたちの精神科受診へのハードル自体を下げるきっかけにもなっています。本記事では幅広い取り組みに込めた思いや、診療のあり方について伺いました。
同級生を失った経験から、精神科医の道へ
____先生が医師を目指された経緯を教えてください。
父が精神科を専門とする医師で、幼い頃から医療の現場は身近にありました。ただ、父の後を継ぐことはまったく考えておらず、高校生の頃までは音楽に熱中していました。
そんな中で、高校3年生のときに同級生が自ら命を絶つ出来事があったのです。その経験をきっかけに、人の心の痛みや背景に強い関心を持つようになりました。
結果として、人が抱える苦しみを少しでも軽くできるような仕事がしたいと思い、精神科医を志すことを決めました。大学受験を控えた高校の面談でも「精神科を志望しています」と伝え、その頃にはこの道で生きていく気持ちが固まっていました。
____大学病院での研鑽やその後の進路はいかがでしたか。
大学病院では専門医や指定医を目指して診療・研究に打ち込み、学位も取得しました。学位取得後は海外で研究に挑戦したいという思いがありましたが、ちょうどその頃にコロナ禍が到来。残念ながら留学の機会は閉ざされてしまいました。
その後、PCRクリニックを運営していた同級生から声がかかりました。ステイホームの影響や働き方の急激な変化によって、ビジネスパーソンの間で心の不調を訴える人が増えていると聞き、一緒に精神科診療を始めることに。こうして現在のクリニックを立ち上げ、仕事のストレスや環境の変化に悩む人たちを幅広く支える診療体制を整えました。
YouTube等の活動を通じて、精神科への理解やクリニックへの安心感を持ってもらえるように

____先生の診療方針をお聞かせください。
精神科医として、まず大切にしているのは「否定しないこと」です。患者さんが感じている思いや言葉をそのまま受け止め、その背景にある考え方や過去の経験、価値観に丁寧に耳を傾けます。多くの方は、何らかの症状が出ていても、その背景にある感情や出来事を自覚していないことがあります。
たとえば、長い間心の奥にしまい込んできた経験や、言葉にできなかった思いが、そのまま不調として表れるケースも。そうした隠れた背景を一緒にたぐり寄せながら、対話を通じて少しずつ見つけていきます。
また、必要に応じて心理検査や知能検査を行い、「得意・不得意」や「向き不向き」を一緒に確認していくことも可能です。自分の傾向や苦手なことを把握することが、楽な働き方や考え方のヒントを見つけるきっかけとなることも少なくありません。
___「精神科は特別な場所ではなく、心の不調は誰にでも起こるもの」と、メッセージを伝えられています。
YouTubeをはじめとするオンライン発信を通じて「精神科は特別な場所ではなく、心の不調は誰にでも起こるもの」と、メッセージを伝えています。発信を続けるうちに、記事監修や執筆の依頼も増え、医療以外の分野との交流も広がってきました。 こうした活動を通じて、より多くの方に精神科医療への理解やクリニックに対する安心感を持ってもらえるようになったと感じています。
ビジネスエリア新橋で、夜でも立ち寄れる心の拠り所を

____地域の方々に対して、どのような医療を届けたいとお考えですか。
新橋にクリニックを開業し、多くの働く世代の方々を診ています。とくに仕事のストレスや人間関係、労働環境から心の不調を抱える方が多く、ニーズに応じて夜20時まで診療することにしました。仕事帰りでも立ち寄れる時間帯を設けることで、「気軽に相談できる心の拠り所」でありたいと思っています。
____診療を通じて感じるやりがいを教えてください。
患者さんから「話をして楽になった」「ここに来てよかった」と言ってもらえる瞬間が、私にとって何よりの励みです。心の重荷を降ろして、生活の質(QOL)が改善される方を見るたびに「この仕事を選んでよかった」と強く感じます。 皆さんがご自身の望む生活を続けられること自体が、私のやりがいと言えますね。
____最後に、これからの展望をお聞かせください。
誰もが無理なく働けて、無理なく休める社会をつくる一助になりたいと考えています。精神科医として、得意なことや苦手なことを可視化できる検査も活用しながら、その人に合った支え方を調整していきたいです。 地域の方々にとって、「心の健康を気軽に相談できる場所」であり続けることを目指しています。


東邦大学医学部卒業。総合病院厚生中央病院で2年間の研修期間を経て精神科を選択。
東邦大学医学部精神神経医学講座に入局し経験を積んだ後、「メンタルドクタークリニック」を開院。
精神科
日本精神神経学会 精神科専門医 精神保健指定医 医学博士 産業医
日本精神神経学会 一般社団法人ロコモ認知症予防療法協会 理事長
問い合わせ
03-6205-4448
取材日: 2025年10月17日
Mental doctor clinic
公式ホームページ:https://sidow.jp/
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