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INTERVIEW
名医インタビュー
2025.11.30
腎臓内科
東京

生活をまるごと診る 腎臓の名医
【菅沼信也先生/腎内科クリニック世田谷】

まさてる散歩〜あなたの街の頼れるクリニック訪問〜

世田谷 南烏山にある「腎内科クリニック世田谷」は、腎臓病・糖尿病専門の内科クリニックです。日中の透析以外にも22時以降の治療枠も設け、働きざかりの患者さん達からも多くの支持を受けています。さらに過度な食事制限は課さず、たくさん食べて動き、十分な透析を行うことも推奨。現役世代にも続けやすい治療環境で、生活との両立がしやすいと評判です。今回は院長の菅沼信也先生に透析についてのお考えや、地域医療への想いを伺いました。

疾患だけではなく、日常の過ごし方まで支える医師に

     

____先生が医師を目指されたきっかけを教えてください。

両親ともに医師だったため、自然と進路の候補に医師が入ってきました。母は子育てに専念するため退職していますが、もともとは精神科の医師を志していたそうです。

地元長野県飯田市には父の経営する菅沼病院があり、私は長男のため父からも「三代目」と呼ばれて育てられました。

そうした経緯から、東京で開業する直前まで実家を継ぐかクリニックを開くかで迷っていました。幸いにも弟が実家を継承してくれることになり、安心して現在のクリニックを開くことができました。

____腎臓内科・透析の分野に進まれた理由はありますか。

医学生の時に腎臓内科での診療に立ち会い、身体全体を診ながら治療していく深さに惹かれました。腎臓病は長く続く病気で、患者さんの生活が密接に症状に影響します。「疾患そのものだけでなく日常の過ごし方まで支えていく点」に、やりがいを感じたのが決め手でした。

患者さんと向き合うからこそ、「ある日の違和感」にも気づける

____腎臓病の治療で選択されることの多い「透析」で、大切にされていることを教えてください。

安全に長く続けられるかどうかを最も重視しています。同じ治療でも、血圧の変動、体力の状態、食事や水分の摂り方などが異なると、身体にかかる負担はまったく違ってきます。来院された際にその日の体重、体調やバイタルサイン全てを確認し、無理のない透析に調整することが欠かせません。

___普段の診療では、どのように患者さんの状態を見極めているのでしょうか。

体重や血圧の変化、直近の体調の変動、食事の傾向、生活リズムの乱れなど、診察や会話から得られる情報を積み重ねて判断しています。
医学的な数値だけでなく、表情や全身の様子から伝わる“その日の違和感”も大切です。そうした観察が、安全で質の高い透析につながると考えています。

___行われている治療の一つである、「長時間透析」について教えてください。

長時間透析とは1回に約4時間(週に3回)かけて行う短時間の血液透析を、1.5~2倍の時間である1回6~8時間(週に3回)かけて実施する治療方法です。 この長時間透析は、時間をかけて血液を浄化することで、カリウムやリン等の除去をしっかり行うことができます。また時間をかけることで、身体への負担も小さくて済みます。

さらには生命予後の改善だけでなく、認知機能を守る可能性があるとの報告も。その理由は、ゆっくりと時間をかけて除水し血液を浄化することで、透析中の急激な血圧低下を起こしにくくなるためです。
透析時に低血圧が繰り返されると前頭葉の萎縮につながるとの調査結果も出ており、時間設定は治療の安全性を左右する重要な要素といえます。

ただし、皆さんそれぞれが生活の事情を抱えていますので、日中の施設透析のみならず準夜透析、8時間のオーバーナイト透析(深夜透析)や在宅透析(腹膜透析・在宅血液透析)も本院ではご選択可能です。お仕事やご家庭の状況も踏まえ、負担の少ない方法を患者さんと一緒に探っていきます。

「続けることが治療」の透析を、地域と共に支えるクリニック

____地域で行う医療に対して、どのようなお考えをお持ちですか。

透析は週に数回、長期間にわたって通う必要があるため、患者さんにとってクリニックは“生活の一部”になります。だからこそ、安心して通える場所であることを大切にしています。

体調、家族のこと、仕事との両立など、背景はさまざまです。医療の面だけではなく、その方の生活全体を支えるつもりで関わっています。

____世田谷区はどのような地域なのでしょうか。

世田谷は住宅街としての落ち着きがあり、幅広い年代の方が暮らしています。

透析を続けながら生活を整えていくには、こうした落ち着ける雰囲気をもつ地域の支えが欠かせません。近隣の医療機関や薬局との連携も含め、この場所で治療を続ける安心感を届けたいと考えています。

患者さんの“いつもの日常”が少しでも過ごしやすくなるよう、地域に根ざした診療を続けていきたいですね。

____最後に、この記事を読まれる患者さんへメッセージをお願いします。

腎臓・糖尿病・生活習慣病内科では適切な食事・運動療法、SGLT2阻害薬等の薬物療法により腎機能低下や透析防止に全力を尽くします。図らずも透析が必要となった方にとって透析を続けることそのものが、治療の中心です。負担を感じる時があっても、一人で抱え込まずに相談していただければ、必ず道は見えてきます。

私たちは、基本的に過度な食事制限を設けない方針です。しっかり食べて動いていただくことで、気持ちの負担も軽くなるのではと考えています。透析患者さんにとって栄養は生命予後に大変重要で、本院人工透析内科には90才を超えている超高齢の方も複数、透析歴50年を本院にて達成された方も複数いらっしゃいます。

これからもクリニック一同で地域の方々にとって、安心して体を預けられる場所づくりに取り組んでまいります。

 

<プロフィール>
腎内科クリニック世田谷/院長 菅沼信也先生

国立旭川医科大学卒業後、東京女子医科大学病院腎臓内科に入局。腎臓病及び透析医療に携わる。東京女子医科大学病院での研修後、新宿石川病院内科、東京女子医科大学病院腎臓病総合医療センター、東日本循環器病院(現海老名総合病院)腎・膠原病センター勤務を経て、平成20年に「腎内科クリニック世田谷」を開設。

<専門分野>

腎臓内科 糖尿病・生活習慣病内科 人工透析内科

<資格>

日本内科学会認定内科医 日本腎臓学会認定腎臓専門医 日本透析医学会認定透析専門医 難病指定医 身体障害者福祉法第15条指定医(腎臓機能障害) 医学博士(東京女子医科大学) 日本腹膜透析医学会認定医

<所属学会>

世田谷区医師会 間歇補充型血液透析濾過(I-HDF)研究会 日本腎不全スキンケア研究会 長時間透析研究会 日本腎栄養代謝研究会 日本在宅血液透析学会


問い合わせ
03-5969-4976

腎内科クリニック世田谷
公式ホームページ:https://www.jinnaika.com

取材日: 2025年11月14日