整形外科でレントゲンを撮る本当の理由|被曝リスクやCT・MRIとの違いを医師が解説
整形外科を受診すると、ほぼ毎回レントゲンを撮られることに疑問を感じたことはありませんか。「何度も撮って被曝は大丈夫なのか」「本当に必要なのか」と不安になる方も少なくないでしょう。この記事では、整形外科医の解説をもとに、レントゲンを撮る本当の理由や被曝リスクの実態、CT・MRIとの違いまでわかりやすくお伝えします。

整形外科でレントゲンを撮る本当の理由とは
「なぜ毎回レントゲンを撮るの?」と疑問に思う方も多いでしょう。ここでは、整形外科でレントゲンを撮る本当の理由について解説します。
骨の形を確認して診断するため
レントゲンは骨の形を画像として確認するために撮影します。整形外科医はレントゲン画像をもとに、骨がどのような状態にあるかを判断しています。骨の表面をなぞるようにして観察し、異常がないかを丁寧にチェックするのが基本的な診断の流れです。触診や問診だけではわからない内部の状態を目で見て確認できる点が、レントゲン検査の強みです。
骨折の有無を正確に判断するため
骨折が疑われる場合、レントゲン撮影は欠かせない検査です。レントゲンを撮れば、骨のどこかに折れている箇所がないか、ヒビが入っていないかを画像で確認できます。見た目では判断しづらい小さな骨折も発見しやすく、適切な治療方針を立てるうえで欠かせない情報が得られます。
経時的な変化を追跡するため
レントゲンは時間の経過による骨の変化を追うためにも使われます。たとえば1年前に撮影した画像と今日の画像を比べれば、骨の状態がどう変わったかがわかります。骨折の治り具合を確認したり、側弯症の進行を観察したりする際に、時系列での比較が役立ちます。
整形外科で毎回レントゲンを撮る必要はあるのか
「おばあちゃんが整形外科に行くと毎回レントゲンを撮られる」という声を耳にすることがあります。実際のところ、毎回撮影することについてはどう考えればよいのでしょうか。
毎回の撮影は必ずしも必要ではない
毎回毎回レントゲンを撮ることは必ずしも適切ではありません。レントゲンは何かしらの変化やイベントがあったときに撮影するのが基本であり、漫然と撮り続けるのは避けたいところです。診察のたびに撮る必要はないケースも多く、医師と相談しながら必要性を判断してもらいましょう。
定期的な撮影で変化を見逃さない
定期的にレントゲンを撮ることには大きな意義があります。骨の状態は少しずつ変化していくことがあり、その変化を早めに見つけることが治療では大事です。毎回ではなく適切な間隔で撮影すれば、無駄な被曝を避けながら必要な情報を得られます。
レントゲンの被曝は本当に危険なのか
被曝という言葉に不安を感じる方へ向けて、ここではレントゲンの被曝リスクについて紹介します。
日常生活でも放射線は浴びている
私たちは日常生活の中でも常に放射線を浴びています。太陽からの紫外線や、食べ物に含まれる微量の放射性物質など、自然界には放射線が存在しています。レントゲン検査による被曝量は、日常で浴びる自然放射線と比べても極端に多いわけではありません。
飛行機移動との被曝量比較
飛行機での移動も被曝の一種です。東京からアメリカへ飛行機で飛ぶと、高度が高い分だけ宇宙からの放射線を多く浴びます。この宇宙被曝は胸部レントゲン1枚程度に相当すると言われており、頻繁に飛行機で移動する人でも健康被害が問題になることはほとんどありません。
レントゲン1〜2枚なら心配不要
レントゲンを1枚や2枚撮る程度なら、健康被害を心配するほどの量ではありません。自然放射線や飛行機移動での被曝量と比較しても大きな差はなく、必要な検査を過度に恐れなくても大丈夫です。もちろん必要最小限に抑えるべきですが、診断に必要な撮影は安心して受けてください。

CT検査の被曝量はレントゲンの100倍以上
レントゲンと比較して、特に注意が必要なのがCT検査です。ここではCTの被曝量について解説します。
CTは1回でレントゲン100〜200枚分の被曝
CT検査は1回の撮影でレントゲン100枚から200枚分に相当する被曝量があります。CTはレントゲンと同じX線を使う検査ですが、体の周囲から多方向に照射して断層画像を作成するため、被曝量が大幅に増えます。レントゲンとは桁違いの被曝量になる点を覚えておきましょう。
CTはなるべく避けたほうがよい
CT検査は本当に必要な場合を除いて、なるべく避けたほうがよいとされています。整形外科医の間でも、被曝量の多さから慎重に判断すべきという考えが一般的です。手術前の精密検査や複雑な骨折など、明確な必要性がある場合に限って受けるようにしましょう。
整形外科で使うレントゲン・CT・MRIの違い
画像検査にはレントゲン以外にもCTやMRIがあります。ここでは、それぞれの検査の特徴と使い分けについて詳しく見ていきましょう。
レントゲンとCTは骨の形を見る検査
レントゲンとCTは、どちらもX線を使って主に骨の形を確認する検査です。整形外科医はレントゲン画像から骨の変形や骨折を読み取るトレーニングを積んでいるため、多くの場合はレントゲンだけで十分な診断ができます。CTはより詳細に骨の形を見たいときや、手術前に立体的な構造を把握したいときに使われます。
MRIは骨の中や軟部組織を見る検査
MRIは骨の中の状態や軟部組織を調べるための検査です。骨の表面だけでなく、筋肉・脂肪・靭帯・椎間板といった軟部組織の状態まで詳しく確認できます。レントゲンやCTでは表面しか見えない一方、MRIなら内部の様子まで把握できる点が大きな特徴です。
圧迫骨折の診断にはMRIが有効
高齢者に多い圧迫骨折の診断にはMRIが有効です。圧迫骨折は骨がポキッと折れるのではなく、骨が脆くなってグシャッと潰れるように骨折するため、初期のレントゲンでは判断が難しいことがあります。MRI検査なら骨の中で出血や腫れが起きているかどうかを確認でき、骨折の有無を正確に診断できます。
腫瘍の診断にもMRIが活躍
腫瘍など、できものの診断でもMRIは非常に役立ちます。MRIは腫瘍の内部にどのような構造があるのかを調べられるため、それがどんな種類の腫瘍なのかを判断する手がかりになります。形を調べるならCTやレントゲン、中の構造を調べるならMRIと覚えておくとわかりやすいでしょう。
整形外科でレントゲンを撮るときの服装と注意点
実際にレントゲンを撮る際には、いくつか気をつけておきたいポイントがあります。ここでは撮影時の服装や姿勢について紹介します。
金属製のボタンやアクセサリーに注意
レントゲン撮影時は金属製のボタンやファスナーがついた服を避けましょう。金属はレントゲンに映り込んでしまい、正確な診断の妨げになります。布以外の素材も映ることがあるため、撮影時は薄手のTシャツや下着を着用するのが一般的です。
正しい姿勢で撮影することの重要性
レントゲン撮影では姿勢や角度がとても大事です。レントゲンは立体的なものを1枚の平面画像にするため、たとえば手のレントゲンでも撮影角度によって見える情報が変わります。放射線技師は最適な画像を得るために決められた姿勢での撮影を指示するので、痛みの範囲内でしっかりその姿勢を保つようにしてください。
放射線技師の指示に従う
撮影時は放射線技師の指示に従うことが大切です。放射線技師はどのような姿勢で撮るべきかを教えてくれるので、怖がらずに従えばより正確な診断が可能になります。痛みがある場合は無理をせず、できる範囲で協力すれば問題ありません。
まとめ
整形外科でレントゲンを撮る目的は、骨の形を確認し、経時的な変化を追うことにあります。毎回撮影する必要はありませんが、定期的な撮影で変化を見逃さないようにしたいところです。レントゲン1〜2枚程度の被曝量は日常生活で浴びる自然放射線と大きく変わらず、過度に心配しなくても大丈夫です。ただしCTは被曝量がレントゲンの100倍以上になるため、必要な場合に限って受けるようにしましょう。レントゲン・CT・MRIにはそれぞれ得意分野があり、骨の形を見るならレントゲンやCT、骨の中や軟部組織を見るならMRIと覚えておくと便利です。撮影時は金属製のものを避け、放射線技師の指示に従って正しい姿勢で撮影しましょう。
