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側弯症で抱える不安に整形外科医が回答|バッグの持ち方・寝方との関連性まで解説

側弯症と診断されると、「バッグの持ち方が悪かったのでは」「寝方を変えたほうがいいのでは」と不安になる方が多いのではないでしょうか。実は、これらの生活習慣は側弯症の悪化には関係がないと言われています。この記事では、整形外科医の解説をもとに、側弯症にまつわる誤解と正しい対処法についてお伝えします。

思春期特発性側弯症とはどんな病気なのか

側弯症という言葉は聞いたことがあっても、詳しく知らない方は多いでしょう。ここでは、思春期特発性側弯症について紹介します。

背骨が曲がってしまう病気

側弯症とは、背骨が左右に曲がってしまう病気です。特に10代の女性に多く見られ、成長とともに背骨の曲がりが進行していくことがあります。学校検診で指摘されて初めて気づくケースも少なくありません。外見上は肩の高さが左右で違ったり、腰のくびれが非対称になったりといった特徴が見られます。

「特発性」とは原因不明という意味

思春期特発性側弯症の「特発性」とは、原因不明という意味です。なぜ背骨が曲がってしまうのか、実は医学的にはっきりとした原因はわかっていません。遺伝的な背景や環境要因が関係しているのではないかと言われていますが、正直なところ解明されていないのが現状です。だからこそ、安易な情報に惑わされないことが大切です。

成長期のホルモンや筋肉のバランスが影響か

思春期に側弯症が発症・進行しやすい理由として、成長に伴う骨や筋肉のバランスの変化、ホルモンバランスの変化などが影響しているのではないかと考えられています。ただし、これも仮説の段階であり、確定した原因ではありません。1つのことをやったから良くなる、1つのことをやったから悪くなるという単純なものではないのです。

側弯症の悪化にバッグの持ち方は関係ない

「重いバッグを片側で持つと曲がりがひどくなるのでは」と心配する方は多いでしょう。ここでは、バッグの持ち方と側弯症の関係について解説します。

重いバッグで悪化したというエビデンスはない

重いバッグを背負ったり、肩かけバッグを片側で持ったりすることで側弯症の曲がりがひどくなったというエビデンスは存在しません。海外の研究でも、重いランドセルやリュックを背負っても側弯症の曲がりがひどくならなかったという報告がされています。確かに重さが偏ると違和感を感じることはありますが、変形が悪化することはないと考えてよいでしょう。

バッグのせいだと思い込まないことが大切

バッグの持ち方は側弯症の悪化にあまり関係がないと考えてよいでしょう。ただし、重すぎて辛いと感じるほどの荷物を持ち続ける必要はありません。荷物の量を調整して、体に負担がかからない程度に抑えることは大切です。曲がりがひどくなってきたと感じたら、バッグのせいだと決めつけず、整形外科で定期的に診察を受けてください。

側弯症の悪化に寝方は関係ない

「横向きに寝ると曲がりがひどくなるのでは」という不安を抱える方も少なくありません。ここでは、寝方と側弯症の関係について紹介します。

寝方によって悪化したという報告はない

右向きに寝ているから悪くなる、横向きで寝ると曲がりが進むといった心配をする方がいますが、寝方によって側弯症が悪化したという研究報告はありません。人は寝ている間に何度も寝返りを打つため、ずっと同じ姿勢でいるわけではないのです。寝始めの姿勢がどうであっても、寝ている間に体は自然と動いています。

睡眠の質を高めることのほうが大切

寝方を気にするよりも、睡眠の質を高めることに意識を向けましょう。特に成長期は十分な睡眠が成長ホルモンの分泌に影響します。寝る前1時間はブルーライトを避ける、動きやすい服装で寝るなど、良質な睡眠を取るための工夫をしてください。10代であれば8〜9時間の睡眠が推奨されており、しっかり眠ることで身長も伸びやすくなると言われています。

側弯症の悪化に特定の食事は関係ない

「何を食べたら良くなるのか」「食べてはいけないものはあるのか」という質問も多く寄せられます。ここでは、食事と側弯症の関係について解説します。

側弯症食と呼ばれるものは存在しない

これを食べたから側弯症が良くなる、これを食べたから悪くなるという、いわゆる「側弯症食」は存在しません。特定の食べ物で側弯症が改善したり悪化したりすることはないため、食事制限をする必要はありません。ネット上には様々な情報がありますが、医学的根拠のない食事療法に惑わされないようにしましょう。

成長期に必要な栄養をしっかり摂る

側弯症のお子さんには痩せ型の子が多いという報告があります。特別な食事制限よりも、成長期に必要な栄養をバランスよく摂ることが大切です。骨の成長を促すビタミンD、鉄、亜鉛、そして成長ホルモンの分泌に関わるタンパク質をしっかり摂取しましょう。太りすぎも良くありませんが、適正な体重を保ちながらバランスの良い食事を心がけてください。しっかり食べて、しっかり寝ることが基本です。

側弯症が疑われたら整形外科を受診すべき理由

巷には「側弯症を治します」という整体院の看板を見かけることがあります。しかし、安易にそうした情報に惑わされるべきではありません。

原因不明だからこそ専門家の診断が必要

側弯症は原因が不明であるため、「これをやったら良くなる」「これをやったら悪くなる」という単純なものではありません。ネットや巷にある情報に惑わされず、整形外科、特に側弯症を専門に診ている医師の診察を受けることが大切です。学校検診で指摘された場合も、早めに専門家のもとを訪れてください。早期発見・早期対応が重要です。

整体で簡単に治るものではない

「側弯症を治します」という整体院の看板を見て、悩んでいる方がフラッと誘われてしまうこともあるかもしれません。しかし、側弯症はそう簡単に治ったり良くなったりするものではありません。適切な診断と治療を受けるためには、整形外科の専門家に相談してください。変形が強くなってから受診すると、手術が必要になるケースもあるため、早めの対応が肝心です。

運動療法や装具療法は専門家の指導のもとで

最近は運動療法やリハビリが側弯症の進行予防に効果的だと言われています。また、適切なタイミングでの装具療法も曲がりを悪化させないために必要な治療です。これらは整形外科医の指示のもと、理学療法士や義肢装具士と連携してチームで取り組むものであり、自己判断で行うべきではありません。専門家のサポートを受けながら、正しい治療を続けていきましょう。

まとめ

思春期特発性側弯症は原因不明の病気であり、バッグの持ち方、寝方、食事といった生活習慣が悪化の原因になることはありません。海外の研究でも、これらの生活習慣と側弯症の進行に関連性は認められていないと報告されています。巷にある「これをやったら良くなる」「これをやったら悪くなる」という情報に惑わされず、気になることがあれば整形外科、特に側弯症の専門家に相談してください。適切な診断を受け、必要に応じて運動療法や装具療法を専門家の指導のもとで行うことが、側弯症と上手に付き合っていくための正しい選択です。