お問い合わせ
INTERVIEW
名医インタビュー
2025.06.30
整形外科
神奈川

枕治療の名医
【山田朱織先生/16号整形外科】

まさてる散歩〜あなたの街の頼れるクリニック訪問〜

神奈川県相模原市中央区、JR横浜線「淵野辺駅」から徒歩10分、国道16号沿いに位置する「16号整形外科」。院長の山田朱織(やまだしゅおり)先生は、整形外科医のお父さまから引き継いだ40年以上の研究成果に基づき、自分の身体に合った手作り枕の作り方を指導する「枕治療」を提唱しています。今回は山田先生に、お父さまの研究を引き継がれた経緯や、枕治療にかける情熱、地域の患者さまへの思いについてお話をお伺いしました。

「枕治療」との運命の出会い

____先生が医師を目指されたきっかけについて教えていただけますか?

私に影響を与えてくれたのは整形外科医だった父です。父は、私が小さい頃から大学病院に連れていってくれたり、ときには動物実験に立ち会わせてくれたりするような人でした。父が開業してからは、1階がクリニック、2階が家という環境で、放課後はいつも診療室にいました。父と患者さまとの対話を聞くのが楽しくて、学校が終わると一目散にクリニックへ走っていく子どもだったのです。

そうはいっても、幼い頃から医師になろうと考えていたわけではありません。絵描きさんなど、子どもらしい夢もあれこれ思い描いていました。しかし、大学受験を控えて将来と向き合って、医療という職に強く魅かれる自分に気づいたのです。そこで医師としての道に進み、医学部卒業後は迷いなく父と同じ整形外科を選択しました。

____卒業されてから開業に至るまでの経緯についてお話いただけますか?

勤務医として働く中で、「何か自分のテーマを決めて研究したい」と思いました。そこで一時は「メディカルアロマセラピー」を熱心に行いました。これもとても興味深かったのですが、生涯かけて行う研究テーマにはなりませんでした。

その頃、父が体調を崩して実家のクリニックを手伝うことになりました。それが私と「枕治療*1」との出会いでした。父が行っていた当時は学術的なエビデンスに基づいた治療ではなかったのですが、それでも患者さまはみるみる良くなっていきました。その姿を見て感じました。

「こんなに面白い研究テーマは他にない。これは運命かもしれない」それからは一心不乱に枕治療を行い、オーダーメイド枕を開発するために「山田朱織枕研究所」を設立しました。その後、枕治療を患者さまに提供するために「16号整形外科」を開業したわけです。

枕治療のエビデンスのため、ブラッシュアップを続ける

____「枕治療」とはどういった治療法なのでしょうか。

日中にかかった首や肩への負荷を放っておくと、歪みとなってさまざまな不調を引き起こしやすくなります。そうならないよう、その人に合った枕を使い、夜間のうちに首を元の状態にリセットするのが「枕治療」です。人間は人生のおよそ3分の1を睡眠に費やすといいますが、その時間をまるまる治療時間に当てることができます。

父は、患者さまが自宅から持ってきた素材を使って「座布団枕」を作っていました。座布団枕は、半分に切った座布団にタオルを重ね、高さを調整したものです。父は首を専門とした整形外科医で、早い段階で「夜間の安静」に着目し、その実践として座布団枕を使っていました。

私は枕治療を引き継ぎ、周囲の整形外科医にも広めようとしました。しかし、「治療の医学的根拠は?」「エビデンスがなければ導入できない」という言葉しか返ってこなかったのです。そこで「枕治療を学術的に確立させなければ」と奮起し、臨床研究を続け、現在の形にブラッシュアップしました。

____実際に「枕治療」を受ける場合、どういった流れになりますか?

まず、患者さまの痛みや不調、日中や就寝中の環境などについてお伺いし、ご自身の身体に合った高さの枕を手作りする方法を指導します。枕の材料に使うのは、玄関マットとタオルケットです。父の頃は座布団でしたが、潰れにくい素材を求めた結果、玄関マットが適していることが分かりました。指導をもとに自宅で枕を作っていただき、二回目の診療時にお持ちいただきます。理学療法士が枕のチェックや高さの調整を行い、その後も継続してフォローアップをさせていただきます。

____オーダーメイド枕(整形外科枕)を作っていただくのも可能だと伺いました。

クリニック 2Fの「山田朱織枕研究所」でオーダーできます。山田朱織枕研究所に予約の上で来院いただければ、専門の枕診断士がカウンセリングと計測を行います。

オーダーメイド枕は、私自身がさまざまな材質を比較検討し、「一人一人に合わせた高さ」「適度な硬さ」「フラットな形状」というポイントにこだわって開発しました。首の骨が安定しやすく、寝返りがしやすいように設計しています。長時間使用しても潰れにくい素材を選んでいるので、適切なメンテナンスをすれば6年以上もちます。

____医師としてやりがいを感じる瞬間は、どんな時ですか?

私自身、枕治療の効果は十分に理解しているのですが、新規の患者さまが改善されると毎回心から嬉しいです。
エビデンスが増えると、治療の精度が向上し、患者さまにより良い治療を届けられるから嬉しいですね。治療効果が高まり、副作用も少なくなるなら、これ以上いいことはありません。患者さまが治療に協力してくださるからこそ、医師としての喜びを感じられるのだと思います。

患者さまと一緒に人生を歩んでいる

____先生が日々の診療で、患者さまと向き合う際に大切にされていることは何ですか?

患者さまの住環境を知ることですね。「ベッドなのか布団なのか」「椅子に座っているのか床に座っているのか」、そういった住環境の情報が治療に大きく役立ちます。患者さまの住環境が分かれば、医師の目線で「こういうところを変えてみては?」「こんなふうに身体を動かすといいですよ」と具体的にアドバイスをすることができます。

「お部屋の間取りはどうですか」「フローリングですか、和室ですか」なんて、一見医師との会話には思えないかもしれません。しかし、私は、こうした患者さまの住環境の聞き取りを一番大切にしています。

____地域の患者さまへの思いについてお聞かせください。

2007年に相模原で開業し、20年弱ここで診療をしています。開業当初からずっと通い続けてくださる患者さまはとても多いですね。父の病院から当院へ移ってこられた患者さまもいて、80代、90代になる方もいらっしゃいます。そうした患者さまにお会いするたびに思うのです。

「患者さまと一緒に人生を歩んでいる」

どの患者さまも、何回もお会いして治療を重ねていくうちに、その方のバックグラウンドが見えてきます。一人ひとりの事情を深く知っているからこそ、ちょっとした変化に気づけますし、その気づきがより良い治療に繋がります。整形外科はメンタルとも関連が深いのですが、そうした心の変化も、お付き合いが長いからこそ分かります。

地域の患者さまが長く通ってくださる。それが私の医師としてのパフォーマンスになり、患者さまへお返しできている。患者さまが協力してくれたからこそ、ここまでやってこれたのだと思います。

____最後に、この記事をお読みの患者さまへメッセージをお願いします。

枕は一般的には寝具のひとつに過ぎません。しかし、高さや硬さを工夫すれば医療器具に匹敵するほどの有効なツールに変化します。原因のよく分からない首や肩の痛み、頭痛、不眠などで悩んでいたら、今お使いの枕を見直してみるとよいかもしれません。

当院では、整形外科医としての医学的知識と、長年の睡眠研究に基づいた独自のノウハウを活かし、患者さまの身体に適した枕治療をご提案しています。首まわりの不調や睡眠の質が気になるときは、ぜひお気軽に当院へいらしてください。

 

 

 

*1
◾️施術名:枕治療(枕外来)

◾️施術の説明:起床時から首や肩、背中や腰の痛みがある方、夜間に痛みで目が覚めてしまう方を対象とした治療法。初回は、自宅にある玄関マット・タオルケットを組み合わせて身体に合った高さの枕を作る方法を指導。二回目以降は枕を持参し、理学療法士が枕のチェックや高さの調整などを行う。クリニック2Fの山田朱織枕研究所にて、「オーダーメイド枕(整形外科枕)」を計測・購入することも可能。

◾️施術のリスク:
・枕治療だけでは症状が改善しない場合があります。
・ご使用になる枕の素材によっては、アレルギーを生じる可能性があります。
 ※「オーダーメイド枕」のご使用でアレルギーが不安な方には、パッチテストを実施しております。
・お体に枕が合わない場合があります。その場合は再度ご来院いただき、調整させていただきます。

◾️費用(税込価格)
・オーダーメイド枕(標準サイズ):31,900円
・オーダーメイド枕(ワイドターン):38,500円
 ※ 自宅にある素材を使って枕を手作りする場合、上記費用はかかりません。
 ※ 別途、診療等にかかる費用が発生します。

<プロフィール>
16号整形外科/
院長 山田 朱織(やまだ しゅおり)

東京女子医科大学を卒業後、東京女子医科大学病院整形外科教室に入局。その後、東京女子医科大学付属第二病院(現、東京女子医科大学東医療センター)、亀田総合病院に勤務し、整形外科医として研鑽を積む。父が院長を務める成瀬整形外科の応援に入った際に「枕治療」と出会う。2003年に山田朱織枕研究所を設立し、枕の重要性を啓蒙するマクラ・エバンジェリストとして活動。2007年に神奈川県相模原市中央区にて16号整形外科を開業し、首を中心とした不調を緩和する「枕治療」を提供している。YouTubeチャンネルにて、枕や睡眠姿勢について定期的に発信中。

<専門分野>

整形外科

<資格>

医学博士 日本整形外科学会専門医

<所属学会>

日本運動器疼痛学会会員 日本腰痛学会会員 日本睡眠学会会員


問い合わせ
042-776-2211

16号整形外科
公式ホームページ:https://www.r16-seikei.jp/

山田朱織枕研究所
You Tube:https://www.youtube.com/@makuraken

取材日: 2025年6月3日